球速UP論 |
最終更新日 2004/10/12 |
「球速を上げるにはどうしたら良いか」。これは投手なら誰もが疑問に思うことであると思います。 |
一昔前、我がサイトでもこの質問はごった返しておりました。というか一も悉く立っていますが・・・ |
では具体的にどのようなフォームが速球を投げることに向いているのか。 |
まずは腕を振れるフォーム |
「腕がよく振れる」ほど投手の好調さを表す言葉はないと思います。 |
スムーズで無理のない、自分にあった合理的なフォームで投げることが最低条件とされます。 |
「自分にはおおよそどんなフォームがあっているのか」を探し出し、追い求めることが最初の段階です。 |
速球にはオーバースロー、というイメージがありますが、けっしてそんな固定概念を持ってはいけません。 |
腕が良く振れるのであれば、オーバーもスリークォーターも関係ありません。 |
最も腕が振れれば、スリークォーターでも、はたまたサイドでもかまいません。 |
本来、サイドスローは速球を投げるには不向きなフォームですが、それでも上手投げより腕が振れていると感じるなら |
それが自分にあった投げ方だという証拠ですから、自信を持ってサイドスローで投げることをお勧めします。 |
速球追求フォームとは |
メインです。球速アップにはまずフォーム・モーションの改善が1番です。理にかなったいい投げ方であれば |
いいボールはいくのです。いかに多くのエネルギーを稼ぎ、使えるかが課題です。 |
エネルギーを稼ぐのは主に下半身であり、それを伝えるのは上半身です。 |
下半身の力が強ければより多くのエネルギーを稼ぐことができるのは確かです。 |
だからよく「走りこめ」や「トレーニングをしろ」というのです。しかし、下半身だけ鍛えればいいというものでは |
ありません。体のバランスが整っていなければ効率的な体の動きにはならず、どこかしらに負担がかかります。 |
下半身だけを鍛えるのではなく、同時に上半身のトレーニングやいい使い方の学習も必要不可欠です。 |
それらについては投球フォーム・モーションのコンテンツで説明していますが、改めてココで重要な点を説明します。 |
まず、エネルギーを稼ぎ出す下半身ですが、稼ぎ出すエネルギーは2つあり、並進エネルギーと回旋(スピン)エネルギーです。 |
並進エネルギーは前に進む力であり、これが大きいほうがボールを前に押し出す力が強くなります。 |
また、並進エネルギーは体のスピンを作り出すエネルギーでもあり、非常に重要です。 |
スピンエネルギーは体が回転する力であり、並進エネルギーによって起こされます。 |
ココで重要なのは「コリオリ」という力の原理です。 |
コリオリとは、1つの回転軸と、それと同体の部分に違う角度の回転軸があればより強い力を発揮できるというもので、 |
ダブルスピン投法はこれを有効利用した投げ方であります。1つの回転軸は骨盤などの下半身、もう1つは肩中心の |
上半身です。このコリオリは1つ目のスピンがかなり進んだ状態で2つ目のスピンがスタートすれば |
理想的な動きとなり、コリオリを有効利用できます。つまりは、下半身は強くスピンし、上半身のスピンは遅らせることで |
エネルギーをフルに使うことができるのです。 |
順を追って説明しなおしてみると・・・ |
まず体が並進運動を起こす→並進エネルギーがチャージされる→そのエネルギーでスピンエネルギーも稼ぎ出す→ |
下半身が強くスピン→上半身はできるだけスピンを遅らせる→コリオリを有効利用した投げ方になります。 |
これらの説明では不十分なところがありますのでさらに詳しい説明をします。 |
1.並進エネルギーを稼ぎ出す |
これは並進運動によって行われます。基本的には下半身の力によって稼ぎ出されます。 |
その際軸足のエッジングが重要であり、ヒップファースト・ヘッドステイバックが好ましい。 |
並進運動は速いほど強くなり、ボールの前方向へ押し出す力が増えるとともに、このエネルギーによって稼がれる |
スピンエネルギーに対してもいい状況になる。ココで重要なのは軸足でのエッジングと、下・上半身を開けないことである。 |
2.並進エネルギーがチャージされる |
つまり、並進運動が進むことです。エッジングの状態はできる限り長いほうがよく、基準は踏み出す足が着地する |
タイミング前後まで。エッジングが終了するまで、まだ骨盤や膝は開かない。 |
つまり体は閉じた状態で高速移動している状態にある。 |
(ココでは球速のことだけに触れているが、実際には並進運動が激しすぎると制球が乱れる恐れもある) |
3.そのエネルギーでスピンエネルギーも稼ぎ出す。下半身が強くスピン |
踏み出す足が着地した後、軸足からのネジリ戻しによって骨盤がスピンをする。つまり下半身が開く。 |
下半身の開きは早いくてもいけないが、遅くてもいけない。足が着地してからが基準。 |
ココでは骨盤など下半身が開く(スピンする)が、上半身はまだひらかない。 |
下半身のスピンは鋭いほどエネルギーが強くなる。そのために強い並進運動と下半身が早く開かないことが重要。 |
4.上半身はできるだけスピンを遅らせる |
コリオリで説明したように、上半身のスピン開始は遅いほど好ましい。 |
ここでの下半身、上半身の境目はちょうど腰の部分に当たり、腰の下は下半身であり開いており、 |
腰の上は上半身であり、まだ開かない。上半身とは胸、肩(腕、肘など)をいう。 |
スピン開始が遅いほど下半身からのネジリ戻しは強力になり、下半身に引っ張られるように上半身が回り、 |
力をいれずとも鋭く上半身はスピンする。上半身が鋭く、速くスピンすれば当然腕のスイングスピードが増し、 |
ボールの初速、指のボールへの掛かり等の面において有利である。つまり、基本的にボールの質がよくなる。 |
下半身の使い方 |
下半身の役目は、強い並進スピンエネルギーの確保です。これが成功しなければ投球はほぼ上半身のみに頼ることになり、 |
手投げになったりする。下半身は強いほうが好ましいが、それよりもいい使い方のほうが重要。 |
まずはいい下半身の使い方を覚え、それから下半身を鍛えたほうが効率的であると考えられる。 |
下半身の使い方で重要なのは軸足のエッジングと開けずに並進することであるが、そのためにエッジングを向上させなければ |
ならない。エッジングとは下の画像のように軸足を投球方向へ傾けるようにし、体を並進させることである。 |
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このエッジングで特に注意したいのがディップになってしまうことである。 |
ディップとは、意識としては「軸足によって体が並進している」が、実際には膝が無駄に折れ曲がっているだけで、 |
肝心の軸足の膝から下はほぼその場で踏ん張っているだけの形になることである。 |
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ディップであると、十分な並進エネルギーが稼ぐことができず、スピンも不十分になる。 |
このディップを改善するためにはまずヒップファースト・ヘッドステイバックを意識し、フットファーストにならないようにし、 |
膝を投球方向へ送りこむ様な意識などがある。ただあくまで感覚の問題なので、自分なりの感覚をつかむ以外方法はない。 |
下半身が早く開くこともよくない。それはスピンエネルギーが減少してしまうからである。 |
下半身が強い並進エネルギーを稼ぐ前に開いてしまえば、下半身がスピンをする距離・期間は少なくなってしまう。 |
下半身の開きをチェックする上で重要なのは踏み出す足の膝の向き。 |
この膝が早いタイミングで正面を向かなければ、まず骨盤は早く開かない。 |
膝は足が着地する前後のタイミングで正面を向けばちょうどよい。 |
以上が下半身の主な使い方である。下半身はなかなか改善しにくい部分もあるが、意識して練習し、 |
いい感覚やこつをつかむことですぐ改善できることが多いので、あきらめずに練習することが大事です。 |
上半身の使い方 |
下半身で多くのエネルギーを確保できていれば、上半身は最低限の動きだけでもエネルギーに比例して球質が向上する。 |
その最低限の動きとは、(1)早く開かないこと と、(2)ゼロポジションでのピッチング です。 |
(1)早く開かないこと |
上半身が早く開いてはいけない理由は既に2度述べました。では具体的にどのような動きが効果的なのか? |
・・・というこ、これが結構厄介なもので、ムリに開きを抑えようとするとスムーズな上半身のスピンが妨げられてしまいます。 |
ここではあまりムリに開きを抑えることよりも、スムーズなスピンができるようにしましょう。 |
ただ、最低限というだけ合って基準はあり、踏み出す足が完全着地すると同時にトップが作れていればOKです。 |
(2)ゼロポジションでのピッチング |
ゼロポジションとは投手にとっては絶対的に必要な知識ではありますが、簡単に説明すれば肩関節等に他と比べ負担がかからない |
肩甲骨と腕らとの位置関係のことを言います。この場所についてはリリースのコンテンツを参照してください。 |
この負担がかからないということはそれだけ力が伝わりやすいということでもあります。 |
よりエネルギーを伝えるためにも、ゼロポジションで投球する際には腕の角度も重要となってきます。 |
腕の角度は90度前後が理想であり、特に角度が極端に腕を曲げている場合、ゼロポジションで投球しにくくなります。 |
気持ちとしては100度前後を意識すればいいと思います。 |
ひとまず以上で説明を終わります。とりあえずオレはこれらの説明に自信があるので、守りさえすれば経験の浅い人でも |
球質は向上するものと思います。 |
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