テイクバック(テークバック)
(リフトアップ後〜トップ)

最終更新 04/11/07

▼テークバックの初期動作
---腕のひねりと手首の使い方
テイクバックの際、手首を内側に曲げることにより(しぼり)球威がまします。ただ力みは厳禁ですので、リラックスした状態で
テイクバックを行いましょう。また、腕がもっとも下の位置にきたとき、腕は軽く内捻りされているのが理想です。
怪我の防止や効率性アップのためにも、腕は内捻りされているのが好ましいです。

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腕を内側に曲げる「しぼり」と、内捻りする動作

---テークバックの形
テークバックにもいろいろなパターンがあるわけですが、アーム式と呼ばれる、腕を伸ばしたままテークバックするのは
できるだけ避けましょう。プロでは阪神久保田、中日岩瀬などがそのタイプです。
アーム式テイクバックとスクラッチ式テイクバック
アーム式テイクバックとスクラッチ式テイクバックの違いは、腕の使い方にあります。
アーム式は腕をほとんど伸ばしたままテイクバックし、トップに持ってきます。
腕の使い方が体にとって不自然なので肩や肘に大きな負担がかかり、故障の元になる可能性があります。
---アーム式のメリット
・腕の動きがシンプル
・腕をトップに持っていきやすい
・トップからリリースにかけて胸が張りやすく、腕が遅れて出てきやすい
・腕を背中側にひきつけても腕が上がりやすい
---アーム式のデメリット
・不自然な動きのため、負担が大きい
・シンプルな動きだけにリズムをつかむのが難しく、腕の軌道が不安定になりやすいので制球が乱れやすい
・スクラッチ式に比べシュート回転しやすい
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---スクラッチ式のメリット
・効率的な動きで、アーム式に比べ無理な動きがないので負担が軽い
・コンパクトな動きなので打者からリリースが見えにくい
・工夫しだいで球威・制球をバランスよく両立できる
---スクラッチ式のデメリット
・初心者の人にはトップに持っていきにくい
・腕を背中側にひきつけると腕が上がりにくくなる
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テークバックと慣性モーメントの関係
慣性モーメントとは、簡単に言えば物体の回りやすさです。この慣性モーメント値が低いほど物体はスピンしやすい
状態になります。そしてその慣性モーメントは物体の軸から先までの長さでおおよそが決まります。
この距離が短いほうが値は小さくなり、物体はスピンしやすくなります。
わかりやすい例で言うと、短いバットは軸から端までの距離が長いためスピンしやすく、長いバット反対にスピンしにくいのです。
つまりは短いバットのほうが基本的にスイングスピードは速いということですが、これはピッチングにも関係してきます。
  脊髄を体の軸とすると、脊髄から端(腕)までの距離が短いほうがスイングは高速度になります。
つまり、より高速スイングを実現したいならば腕は必要最低限コンパクトであることが必要です。
この慣性モーメントは加速にも大きく影響します。つまり高速スイングになる前から慣性モーメントは小さいほうが
有利なわけです。つまりテークバックはコンパクトに。というわけです。
アーム式のようにほとんど腕を伸ばした状態のテークバックでは慣性モーメントは大きくなり、加速、最高速の面で
不利なわけです。これらの意見からも、やはりテークバックは必要最低限コンパクトであるほうが好ましいと考えられます。

▼腕の軌道
---腕は背中側へ引きすぎるな
テイクバックでトップへ腕を上げるとき、腕を背中側に引き込むように引くと、非常に腕が上がりにくくなります。
では実験でこれを試してみましょう。まず、気を付けをします。次に腕を下から上へを上げてみますが、1回目は赤のラインの角度で腕を
あげます。あがるところまで上げてみましょう。次に、もう1度腕を上げますが、今度は青のラインの角度で腕を上げます。
どうですか?赤のラインより上がりやすくなかったですか?要するに、背中側であればあるほど腕は上がりにくいのです。
ということは、テークバックの際、背中側へ引くようにするよりも、青のラインを維持するようにした方があがりやすいといえます。

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上の実験のテイクバック版がコチラ。背中側へ引くより肩のラインと平行に近いほうが腕は上がりやすい

しかし、肩の関節がやわらかい人は特に重要視しなくてもよいと思います。
その分腕が遅れて出てくるので、腕がちゃんと上がってさえいれば問題はありません。
巨人の前田投手なんかは結構背中側に引いてる感じを受けます。でも腕はちゃんと上がっているので問題はありません。
---腕を遅らせる
腕はなるだけ遅く始動したほうがスピン(結果的にスイング)が鋭くなります。そのためにも、リリース直前でただ単に腕を遅らせるのではなく、
テイクバックのモーションの時点から腕を遅らせます。
テイクバックからすぐにトップにもって行くのではなく、最も腕を後ろへ引いた時間を長くます。
「長くする」といっても、腕の動きを緩めたり止めたりしては意味がありません。要するに、
腕を後ろにやる「引き」のタイミングを遅くすればいいのです。そのためにはテイクバックの起動のタイミングも重要です。
引きが十分であればその分だけ腕のスイング開始は遅くなり、腕が遅れ、スイングスピードが増します。
その目安として、左足が着地する寸前まで腕を引いたままの状態であれば合格点といえます。
ダブルスピン投法でいうCアーチになるわけですが、これが深い(かけるタイミングが遅い、長い)ほど
下半身に引っ張られるように上半身がスピンし、スイングスピードが増します。速球派投手の目安になりますね。
これができていない例としては、巨人の林投手はトップへ持ってくるのが早すぎではないかと思います。
例外として、巨人桑田投手は早めに持ってくることで急なスピンを抑え、制球重視のフォームだといえます。

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---腕を遅らせやすくするコツ
腕を遅らせるには、できるだけ腕を背中側に引いたほうが有利です。しかし、その動作のため腕が上がりにくくなります。
腕を遅らすためには、上半身そのものを遅らせればよいのです。画像のように、テイクバックの際、
肩中心の上半身を右方向へ捻ることにより、それだけ上半身のスピンスタートは遅くなり、
トップを作りやすくなるので球威、制球も向上します。

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方を右へ回せば上半身の開きが遅くなり、腕の自由度も広がる。

ゼロ・テイクバックと見えない腕の組み合わせ
既に説明したように、テイクバックでは腕を背中側に引き過ぎず、ナチュラルな軌道を描くことが理想です。
(これをゼロ・テイクバックと呼びます。ゼロポジションをはずしにくい位置でのテイクバックです。)
しかし、これでは腕が十分に遅れなくなり、上半身が早く開いてしまう恐れもあります。
そこで、上で説明しているような、上半身を逆方向へと捻りこみながらゼロ・テイクバックを行えば、
上半身の開きは抑えながらもナチュラル・スムーズな理想のテイクバックが可能です。

▼左腕(グローブ)の使い方1 >> [まとめ]グローブ腕の使い方
---腕のひねり動作
この段階では、まだパワーをチャージしている段階です。以外にも、左腕の動き(チャージ)一つで球威が違ってきます。
このとき左腕は内捻りされているのが理想です。これは上半身の開きを抑えやすくし、次の段階で左腕を外捻りし力をより強く発揮するためです。

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この段階では左腕は内捻り。

---開きを抑える左腕
左腕は、上半身の開きを左右する大切な部分となってきます。左腕が早く開く(捕手側に回る)と、それに引っ張られるように
上半身も早くスピンしてしまいます。これでは上半身が早く開きます。
これらを抑えるためには、左腕は肩の平行ラインより胸側にあることで左腕の開きを抑えられます。

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左腕を内側に持ち込み、上半身の開きを抑える

ただし、抑えようと意識が強すぎて強く内側に腕を持ち込むと、逆に今度は上半身のスピンを阻害してしまいます。
適度な腕の使い方が開きを抑え、球威を損なわない使い方になるのです。
---左腕は必要以上上げない
また、左腕と右腕はほぼ対称の位置になるのが自然な状態なのですが、左腕を上げすぎると、自然的に右腕は下がってしまいます。
右腕が下がるということは肘が上がりにくく、投げ下ろすイメージで投げられないので球威もあがりにくいですし、
左腕が上がるということは上半身の抑えが利かず、その後、リリース時上体を前に移動させることが行いにくくなり、
投げ下ろしにくくなり、必然的にリリースポイントの場所が高まり、ボールが高めに集まってしまいます。
ですので、左腕は必要以上上げないことが重要です。目安として、肩の高さより高いと上げすぎとなってきます。
しかし、チェックすべきは腕の高さではなく、それ(腕の高さ)の影響を受けやすい肩のラインです。
下の画像のように、肩のラインが平行よりも明らかにマイナス(つまり右投げの場合左肩が上がる)の場合、
先ほど述べたように状態の抑えが利かず、リリースポイントが早くなってしまいます。

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左手は必要以上上げない。この左の写真は肩とほぼ同じ高さであるが、上体が抑えきれていないので
右のリリースの時点ではリリースポイントが早まり、ボールが浮く原因となりやすくなってしまう。

▼トップ
---トップでの肘の高さ、腕の角度
頭付近に腕を持ってくる動作(トップ)で、肩のラインより肘が下がるのはできるだけさけたいものです。
腕は基本的に振り下ろすものに近いイメージなので、高い位置にあればそれだけスムーズに強く振ることができます。
ただコレを改善するのが意外と難しく、なかなかできません。その原因として、テークバックの初期動作に問題があります。
テークバックを無駄に大きくすると、その動作に時間がかかり、十分に腕を挙げる時間がなくなります。
また、先ほどいったように、腕をあげるときの軌道にも気をつけましょう。
ですので、テークバックはできるだけコンパクトにしましょう。コンパクトにした分動作時間が短くなり、
腕の稼動範囲が広くなり、腕の使い方も上達するとおもいます。意外と腕をトップにもってこないまま投げる投手が多いので、
ここはよくチェックしてみましょう。トップに持ってこないまま投げるということは、腕が遅れが十分ではないということです。
トップでの腕の角度は90度前後が理想です。それより腕をたたんでいると肘を痛めやすくなり、伸ばしていると制球が乱れます。
腕の角度90度というのは、力を発揮しやすい角度です。これはバッティングの際の腕の角度にも言えることです。

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腕がトップにきた直後の状態。腕は約90度。

---トップを打者に見せるな
腕をトップに持ってくることは重要ですが、ただトップにあればよいというわけではありません。
肩のラインとほぼ平行にある位置でトップが作れていればOKです。それより背中側にあっても、動作に支障がなければかまいません。
トップに持ってきた時点では、下半身はスピンがスタートしていますが、上半身はまだスタートしてはいけません。
つまり、トップに持ってきた腕を打者には見せてはいけないというのが重要です。
正確に言えば、トップの腕を見せてはいけないのではなく、上半身(胸)を見せてはいけないということです。
みせてはいけないというのは、あくまでも参考・目安です。トップに持ってきた腕が打者に見えるということは
上半身のスピンスタートが早く、いわゆる上半身がはやく開いている状態になります。

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Aはトップの時点でもほとんど腕が見えませんが、Bは腕がはっきりと見えます。
腕はできるだけ遅くまでみせないほうがリリースがわかりにくいので、トップは打者に見せないほうが有利です。
上半身を見ると、BのほうがAより開いていることがわかります。これらは「胸を張る」という表現もされます。

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上半身はスピンし始めても腕はまだ見えない

  また、現代の投手を見るとはっきりとトップを作れている投手は少なくなってます。
それでもいいボールを投げる投手は大勢いますが、トップをしっかりと作っており、他の投手以上にいいボールを投げる投手として
西武松坂投手が上げられます。あの高速スイングの中でトップがしっかりできているかどうかを確かめるのは困難ですが
高速シャッターや高速連写を利用すればはっきりと確認することができます。
松坂投手はほぼ完璧に近い形でトップを作っており、またその後の動作でも腕が遅れ、ターゲッティングも極上のものになってます。
他の投手より1枚上手の上半身の使い方のうまさが鋭い腕の振りから成る威力あるストレートと回転数が多くキレのある変化球が
生まれるのでしょう。ぁ、話題がずれましたなw。まぁ1度松坂投手のフォーム・モーションを参考にして見てはどうでしょうか?
トップの時点で肩より肘が下がってはいけない?
とのことですが、実際、プロでも下げている人は多数います。トップの時点で肘が下がっていても、
投げるとき下がっていなければ問題はありません。もし投げるとき肘が下がり気味だったらトップの時点で上げた方がいいかとおもいます。
ただ、ダイエー和田などはトップの時点でもかなりひじの位置は低いです。ひじが低い位置にあることで
打者からは腕が見えにくく、タイミングを計りにくいといわれています。

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